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糖尿病内科について

糖尿病専門医に治療をお任せください

血液には糖分(ブドウ糖)が含まれており、これを血糖と呼び、血糖の量を血糖値と言います。この血糖値は膵臓から分泌される血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」が働くことで調整されています。血糖値は食事をとるなどして上昇しますが、インスリンの機能が正常であれば血糖値は下がります。しかし、何かしらの原因によってインスリンの分泌量が低下する、あるいは出ないという状態が続くと食事から摂取したブドウ糖が血液中に余るようになり、血糖値は常に高い状態が続くようになります。これを糖尿病と言います。
糖尿病は発症初期の段階で、症状が現れることはほぼありません。そして、気づくことのない状態で血糖値が高い数値を維持したままだと、動脈硬化を促進させるようになり、細小血管で起きる様々な合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害など)や大きな血管で起きる大血管障害(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)を招くようになります。また、免疫力も低下していくので感染症にも罹りやすくなります。

こんな症状はご相談ください!

  • 疲労感を感じる
  • 目がかすむ
  • 尿の量が多くなった
  • 足がむくむ
  • のどが渇いてたくさん水を飲むようになった
  • 太ってきた
  • 皮膚が乾燥してかゆい
  • 食べても痩せる

糖尿病の分類について

1型糖尿病

「インスリン」を分泌する細胞である膵臓のベータ細胞が何らかの理由で破壊され、インスリンの分泌が枯渇して発症します。遺伝素因の関与のもと、自己免疫の異常で発症するもの(自己免疫性)とウイルス感染など環境因子が加わり発症するもの(特発性)があります。発症の仕方も、数日で生じる「劇症」、3ヶ月ほどで生じる「急性発症」、年単位で生じる「緩徐進行」があります。比較的若年で発症しますが、「緩徐進行1型糖尿病」は、中年から高齢者でも発症します。
治療はインスリン療法が唯一の治療法となります。当院では、インスリン自己注射、血糖自己測定を丁寧に指導いたします。

2型糖尿病

インスリン分泌の低下または、インスリン感受性の低下(インスリン抵抗性;インスリン作用が十分発揮できない状態)から、インスリン作用の不足が生じ、慢性の高血糖状態となる病態です。
糖尿病患者の大多数はこの2型糖尿病に該当し、遺伝の要因と、肥満・過食・高脂肪食・ストレス・運動不足など環境の要因が重なり発症します。糖尿病の前段階である「境界型糖尿病」ですでに「インスリン抵抗性」が生じていますので、早期発見・早期治療が重要です。

妊娠糖尿病

妊娠時はおなかの赤ちゃん(胎児)の発育のために、お母さん(母体)の内分泌・代謝は変化します。
胎児の主なエネルギー源はブドウ糖です。妊娠前半では胎児のブドウ糖の需要は少ないですが、後半になると増加します。
母体は胎児へのブドウ糖供給のために、ブドウ糖の利用を抑え、インスリン抵抗性(インスリン感受性の低下)が増します。

その他の機序

糖尿病を発症するその他の病態としては、他の疾患に伴うものや、治療薬に伴うもの、感染症、免疫異常、遺伝的要因で発症する病態があります。
糖尿病を引き起こしやすい疾患の中では、膵炎、膵臓癌などの膵臓の疾患、肝炎、肝硬変などの肝臓の疾患、先端巨大症、クッシング症候群などの内分泌の疾患が挙げられます。

検査について

糖尿病が疑われる場合、まず検査を行います。
内容としては、血液・尿検査や経口ブドウ糖負荷試験などによる精密検査を行い、自覚症状、臨床所見、家族歴、体重歴などを参考にして総合的に判断します。
なお、糖尿病は初期のうちは自覚症状がないことから、病状を把握するために血糖やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の値を定期的に検査していく必要があります。

尿糖

通常、血糖値が170mg /dl以上になると尿に糖が出るようになります。 糖尿病の患者さんでも空腹時の血糖値がそれ以上のケースは少なく、空腹時の尿糖は糖尿病の早期の診断には使えません。
空腹時に尿糖が出るようであれば、通常、血糖値がかなり高いということになります。腎性糖尿といって、血糖値が高くないのに尿に糖が出てしまう方がおられますが、これは糖尿病ではありません。
尿糖の検査が威力を発揮するのは、食後の検査です。
食後3時間、尿を我慢して頂いてから検査します。この検査で尿糖が陽性ですと糖尿病の疑いがありますので、ブドウ糖負荷試験を行う必要があります。
逆に、この検査で尿に糖が混じっていなければ食後血糖値は170mg /dl以上には上がっていないということになります。
糖尿病の治療中の方は、食後の尿糖が陰性になるのを目安にすることができます。高齢者では尿に糖が出る閾値が上昇するため、尿糖検査を過信しないほうがよいです。

血糖値

血糖値は採血時の瞬間値です。食事の内容や食べてからの経過時間により変わります。
食後血糖値が重要なのですが、健診の場合は条件を一定にするため空腹時に行います。
基準値は100mg /dl未満です。126mg /dl以上を糖尿病型と判定します。
100~109mg /dlは正常高値、110~126mg /dlは境界型です。肥満歴がある、腹囲が大きい、親、兄弟に糖尿病の方がいる、高血圧があるなど糖尿病になりやすい素因を持っている方は是非、食後の血糖値を測ってみてください。食後2時間値が基準となります。140mg /dl以上は要注意です。

HbA1c

血糖値が瞬間値なのに対して、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は平均値といってもいいでしょう。
最近の1~2ヶ月の血糖値の平均を反映します。糖化ヘモグロビンともいいますが、赤血球に含まれ、酸素を運搬しているヘモグロビンにどれくらい糖がくっついているかをみます。蛋白質には糖がくっつく性質があります。
ヘモグロビンはヘム(鉄)とグロビン(蛋白)からできていますが、このグロビンに糖がくっつくのです。
赤血球の寿命は120日間(4ヶ月)なので、この間の血糖値が反映されます。関与する割合は最近の1ヶ月が半分、その前の1ヶ月が4分の1、その前の2ヶ月が4分の1ということになります。おおよそHbA1c1%は平均血糖値35mg /dlに相当していますが、個人差があります。 以前の基準値は空腹時血糖値が110mg/dl未満、HbA1cが5.9%未満でしたが、この値だと食後のみ血糖値の高い方が見逃されてしまいますので、食後血糖値の140mg/dl以上に相当する値ということで、空腹時血糖値が100mg /dl、HbA1cが5.6%未満とより厳しい数値に変更になったわけです。
境界型からは毎年3~7%の方が糖尿病に移行していきます。境界型そのものが、心筋梗塞、脳梗塞を起こしやすくしますので、既に病気の状態と捉えたほうがいいでしょう。