こんにちは、今回はバセドウ病等でみられる甲状腺眼症の治療についてです。甲状腺眼症はバセドウ病でみられることがありますが眼球突出や物が二重に見えたりなどの視力・視野異常を呈することがあります。治療は甲状腺ホルモンを安定させるだけでは不十分で以前からステロイド点滴が行われてきました。今回の文献では従来のステロイド治療に加えてLDLコレステロールを低下させるアトルバスタチンという内服薬を併用することによって甲状腺眼症の治療効果が増加するという内容です。
Statins for Graves’ orbitopathy (STAGO): a phase 2, open-label, adaptive, single centre, randomised clinical trial. Lanzolla G, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 Sep 27.
Statins for Graves’ orbitopathy (STAGO): a phase 2, open-label, adaptive, single centre, randomised clinical trial. Lanzolla G, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 Sep 27.
低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値が2.97 -4.88mmol/L(114.8~188.7mg/dL)の中等度ないし重度の甲状腺眼症患者88例を対象に、グルココルチコイド静注(ivGC)と経口アトルバスタチン併用による転帰改善効果を第II相無作為化臨床試験で検討した(STAGO試験)。
修正intention-to-treat集団(80例、女性78%)の解析の結果、24週時の主要複合評価項目(眼球突出、臨床的活動性スコア、瞼裂および複視)での奏効達成率はivGC+アトルバスタチン併用群51%、ivGC単独群28%と併用群で高かった(寄与危険度0.23、95%CI 0.02-0.44、P=0.042)。88例中21例(24%)で26件の有害事象が発生した。治療中止率は各群2%と差はなく、重篤な有害事象の発生はなかった。