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PMSや更年期だと思っていたイライラ、実は甲状腺の病気だった?


最近なんとなくイライラしやすくなった、気分が沈みやすい、理由もなく疲れが取れない…そんな不調に悩まされていませんか?


30代後半から40代以降になると、多くの女性が「PMS(月経前症候群)」や「更年期の始まりかな」と自己判断するかもしれません。


しかし、その不調の裏に「甲状腺の病気」が隠れていることもあるのです。甲状腺ホルモンの乱れは、見過ごされやすく、健康診断でも発見されにくいため注意しましょう。


今回は、甲状腺の病気がどのような症状を引き起こすのか、どう見分けるのかをわかりやすく解説していきます。


■そのイライラ、歳のせいにしていませんか?


なんとなく気分が安定しない…その不調は甲状腺の病気が原因かもしれないのです。更年期やPMSと間違われやすいため、放置されてしまうことも少なくありません。


◎「更年期かな」で片付ける前に見てほしいこと

イライラ、不眠、疲労感、体重の増減、月経不順…。


更年期に出やすいとされる症状の多くが、甲状腺ホルモンの乱れによっても起こります。自己判断で放っておくと、日常生活に支障をきたすかもしれません。体の変化を「年齢のせい」と決めつける前に、一度その背景を疑ってみることが大切です。


◎実は見逃されやすい「甲状腺ホルモンの乱れ」

甲状腺の病気は、症状が“全身に分散して現れる”ため、気づきにくい特徴があります。健康診断ではチェックされないことも多く、体調不良の原因がわからずに長年悩み続ける人もいます。医師でさえ、更年期や自律神経の乱れと誤解するケースがあるほどです。


■「甲状腺」ってなに?のどの奥に潜む不調のカギ


甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある小さな臓器で、全身の代謝やエネルギーのコントロールに関わる「甲状腺ホルモン」を作り出しています。このホルモンが乱れると、心も体もバランスを崩しやすくなります。


◎カラダの“元気スイッチ”をつかさどるホルモン

甲状腺ホルモンは、エネルギーを作り出し、体温や脈拍、気分にまで影響を与える“元気ホルモン”です。その働きが過剰になると全身が常にフル回転状態に、逆に不足するとエネルギー切れを起こしたような状態になります。


◎女性に多いのはなぜ?

甲状腺の病気は男性よりも女性に多く、20代から50代にかけて発症しやすい特徴があります。女性ホルモンや妊娠・出産による免疫バランスの変化が関係していると考えられています。


■疲れやすい?落ち込みやすい?もしかして病気のサインかも


甲状腺ホルモンの異常には、大きく分けて“多すぎる”タイプと“少なすぎる”タイプがあります。


それぞれ、まったく異なる症状が現れますが、どちらも「気分の不安定さ」や「慢性的な疲れ」といったあいまいな症状から始まるのが特徴です。


◎暴走タイプの「バセドウ病」— エネルギーが止まらない

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病では、暑がり、多汗、イライラ、動悸、食べても痩せる、などの症状が現れます。心も体も常にアクセル全開のような状態になり、疲れているのに眠れないという人も少なくありません。


◎ブレーキが利きすぎる「橋本病」— やる気が出ない

甲状腺ホルモンが不足する橋本病は、やる気が出ない、冷え、むくみ、体重増加、無気力といった、どちらかというと“静かな不調”がゆっくりと進行していきます。気づいたときには日常生活に影響が出ていることもあります。


■更年期とそっくり!?でも違う、甲状腺の病気の見抜き方


更年期障害と甲状腺の病気は、症状が似ています。そのため、自己判断で「更年期だから仕方ない」と考えてしまう人が多く、医療機関への相談が遅れがちです。


◎「なんとなく不調」が続くときに疑うべきこと

更年期症状との違いを見極めるヒントは、“年齢だけで判断しないこと”です。30代でも起こりうる不調や体調の波が急激な場合、甲状腺ホルモンが関係しているかもしれません。原因がはっきりしない不調が続くなら、一度甲状腺を調べてみましょう。


◎「健康診断では異常なし」でも安心しないで!

甲状腺ホルモンの検査は、通常の健康診断の項目には含まれていません。だからこそ、不調があっても「健康です」と言われてしまうケースが多いのです。


◎決め手は血液検査!医師に伝えたいひと言とは

甲状腺の病気は、血液検査でホルモン値や抗体を調べることで診断が可能です。診察時には「甲状腺の検査をしたことがないのですが、調べてもらえますか?」と一言伝えてみてください。検査項目に含まれていない場合もあるため、自分から申し出ることが大切です。


■婦人科で異常なしと言われたら、甲状腺を疑ってみましょう


婦人科で「問題ありません」と言われても不調が続く場合は、甲状腺の検査を追加することで原因が見つかることがあります。婦人科と内分泌科、両方の視点で体をチェックすることが、根本的な解決への第一歩です。


ホルモンの乱れは、気分や体調に大きく影響を与えます。「何となく調子が悪い」「年齢のせいかも」と我慢せず、まずはお気軽にご相談ください。


甲状腺ホルモンの検査は、あなたの不調の原因を見つける手がかりになるかもしれません。当クリニックでは安心して通っていただけるよう、わかりやすい説明と丁寧な診察を心がけています。


清水ヶ岡糖尿病内科・皮フ科クリニック
医師
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