「バセドウ病って治るの?」
診断を受けたあと、多くの方が最初に抱く不安かもしれません。バセドウ病は「正しく診断され、適切な治療を受ければ十分にコントロールできる病気」です。
治療には薬・アイソトープ・手術という3つの方法があり、症状の程度やライフスタイルに応じて選択できます。
今回は、バセドウ病の治療法について、できるだけわかりやすく解説していきます。不安な方も、“これからどうすればいいか”のヒントが見つかるはずです。
目次
■バセドウ病は治るのか?
「寛解(症状がなくなる状態)」は十分に可能ですが、「完全に再発の可能性がゼロになる=完治」とまでは言い切れません。
◎「寛解」と「完治」の違い
寛解とは「検査値と症状が安定した状態」です。寛解は治療の大きな目標ですが、病気の性質上、数年後に再発することもあるため、治療後も定期的な検査が必要です。
◎治療が終わっても油断禁物?再発リスクと対策
抗甲状腺薬の服用をやめたあと、1年以内に再発するケースが多く見られます。そのため、治療終了後も2〜3ヶ月ごとに血液検査を行うことで、早期発見・早期対応が可能です。
喫煙は発症・再発・治療抵抗性、そして眼症の悪化に関わるとされています。睡眠不足や強いストレスの蓄積も悪化因子です。治療と同時に生活を整えることが、再発予防の“もう一つの薬”になります。
■バセドウ病の3つの治療法【薬・アイソトープ・手術】
バセドウ病の治療には、大きく分けて「薬物療法」「アイソトープ治療」「手術療法」の3つがあります。どれが正解というより、あなたの状況に“合う”選択がベストです。
◎薬物療法
最初に選ばれるのが薬による治療です。代表的なのはチアマゾール(MMI)やプロピルチオウラシル(PTU)といった抗甲状腺薬になります。症状を緩やかに抑えながら、甲状腺ホルモンを正常値に戻します。治療は2年ほどかかるのが一般的で、副作用に注意しながら服薬を続けます。
◎アイソトープ治療
放射性ヨウ素を飲むことで、甲状腺の働きを抑える治療です。「放射線」と聞くと不安になるかもしれません。しかし、極めて少量の放射線で、長年にわたり安全性が確認されている治療法。カプセルを1回飲むだけで甲状腺の働きを弱められます。
入院の必要がなく短期間で効果が得られる一方、小児、妊婦、授乳中には適応しないため、注意が必要です。
◎手術療法
甲状腺の一部または全部を切除する手術療法は、確実にホルモンの過剰分泌を止める手段です。薬が効かない場合や再発を繰り返す場合に選択されます。全摘手術では一生、甲状腺ホルモンを補う薬を飲み続ける必要がありますが、再発リスクは非常に低くなります。
■バセドウ病と向き合う|治療中の生活と心構え
治療中は体調を安定させることが最優先です。無理をせず、生活習慣を整えることが回復への近道となります。
◎通院期間はどのくらい?治療スケジュールの目安
薬物療法では、早い人で1ヶ月、通常3〜6ヶ月で症状が落ち着いてきます。その後、最低2年間は服薬と経過観察が必要になることが多いです。自己判断で薬をやめるのは危険なため、必ず医師の指示に従いましょう。
◎妊娠・出産を希望するなら知っておきたいこと
バセドウ病があっても妊娠・出産は可能です。ただし、薬の種類やタイミングによっては赤ちゃんへの影響があるため、妊娠を考えている場合は必ず主治医に相談しましょう。
◎食事・運動・ストレス…再発させない生活習慣
極端なヨウ素の摂取や過度なストレスは、バセドウ病を悪化させる可能性があります。海藻類は過剰に摂らない程度なら問題ありません。適度な運動、十分な睡眠、そして禁煙が大切です。
■バセドウ病を診てもらうには、何科に行けばいい?」
体調の変化に気づいたとき、「何科を受診すればいいの?」と悩む方も多いはず。適切な診療科を知っておくことで、早期発見・早期治療につながります。
◎専門医がいるのは何科?迷ったらまず内分泌内科へ
バセドウ病は「内分泌内科」や「甲状腺外来」が専門になります。地域の大きな病院には、甲状腺専門医が在籍していることが多いので、気になる症状があれば早めに相談しましょう。
迷った場合は、かかりつけ医でも構いません。必要に応じて専門外来を紹介してもらいましょう。
◎症状が出たらどうする?受診タイミングとチェックポイント
動悸や息切れ、体重減少、手の震え、汗が異常に出るなどの症状が続いたら、すぐに医師の診察を受けることが大切です。早期の治療で症状を抑えられれば、体への負担も軽く済みます。
■バセドウ病は「治らない病気」ではありません。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰になることで体のバランスが乱れ、心身にさまざまな不調をもたらす病気です。ですが、決して「治らない病気」ではありません。
現在は、薬物療法・放射性ヨウ素(アイソトープ)治療・手術という3つの有効な治療法があり、症状やライフスタイルに応じて適切な治療を選べます。また、早期発見と継続的な経過観察によって、寛解を目指すことも十分に可能です。
「バセドウ病かも?」と感じたら、まずはご相談ください。大切なのは、症状を自己判断で放置しないこと。そして、相談しながら焦らず治療を進めていくことです。自分の体と丁寧に向き合うことが、再発を防ぐカギとなります。