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甲状腺の検査は何科で受ける? 血液検査・超音波(エコー)検査では何をするの?


「なんとなく疲れが取れない」

「ドキドキする」

「首元が腫れている気がする」


 こうした不調を感じたとき、なにかの病気を心配される方は少なくありません。しかし、いざ病院に行こうと思っても「そもそも何科に行けばいいの?」「どんな検査をされるの? 痛いのは嫌だな…」と不安で足が止まってしまうことも多いはずです。


この記事では、「迷わない診療科の選び方」や、「痛みの少ない検査の中身」について、わかりやすく解説します。


■「内科? 耳鼻科?」迷いやすい受診先、症状別の選び方


甲状腺はのどぼとけの下にある臓器なので「耳鼻科?」と思ったり、ホルモンだから「内科?」と迷ったりしやすいポイントです。結論から言うと、症状によって入り口が少し異なります。


◎まずは「内分泌内科」がおすすめ

ホルモンの専門家である内分泌内科が適した窓口です。「甲状腺専門」を掲げているクリニックもここに当てはまります。


バセドウ病や橋本病といった「ホルモンバランスの乱れ」から、しこりの有無まで総合的に診断できます。


◎手術が必要なら「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」

明らかに「大きなコブがある」場合や、手術が必要な場合は、首の外科手術が得意な耳鼻咽喉科(頭頸部外科)や、甲状腺外科が受診先になります。


選び方のポイント


「だるい」「ドキドキする」「健康診断で指摘された」といった場合は、まずは内分泌内科を受診し、ホルモン異常なのか、しこりなのかを診断してもらうのがスムーズです。


■「痛くないかな…」と不安な方へ。検査は意外とシンプルです


「甲状腺の検査」と聞くと大掛かりなものを想像するかもしれません。基本は以下の3ステップです。体への負担は少なく、短時間で終わります。


  1. 触診:医師が首に触れて、硬さや大きさを確認します。

  2. 血液検査:ホルモンの数値をチェックします。

  3. 超音波(エコー)検査:画像を撮って、内部の様子を見ます。


これらを組み合わせることで、「働き(機能)」がおかしいのか、「形(形態)」がおかしいのかを見極めます。


■血液検査でわかること:ホルモンの「指令」と「量」のバランス


血液検査では、主にTSHとFT4という2つの数値をセットで見て、体のアクセル具合を調べます。


◎TSH(脳からの指令)と FT4(実際のホルモン)

イメージは「シーソー」の関係です。


・TSH(甲状腺刺激ホルモン): 脳(下垂体)から出る「もっと働け!」という命令。

・FT4(甲状腺ホルモン): 命令を受けて甲状腺から出る、新陳代謝の源。


※必要に応じてFT3というホルモンも測ります。

【よくあるパターン】


バセドウ病など(働きすぎ)


ホルモンが勝手に出すぎるため、脳は「もう出すな(TSH↓)」と命令を止めます。

 [ FT4が高い ] + [ TSHが低い ]


橋本病など(不足)


ホルモンが足りないため、脳は「もっと出せ(TSH↑)」と命令を強めます。

 [ FT4が低い ] + [ TSHが高い ]


※まれに、脳(下垂体)など甲状腺以外の病気で

数値の組み合わせが典型と異なることもあるため、

最終判断は医師が行います。


◎原因を特定する「自己抗体(じここうたい)」

病気の「確定診断」をするために、自分の甲状腺を攻撃してしまう「抗体」という物質があるかも調べます。


  • バセドウ病の疑いなら…TRAb

  • 橋本病の疑いなら…TPOAbや TgAb


■ゼリーを塗るだけ! エコー検査で「首の中」を透視する


超音波検査(エコー)は、首にゼリーを塗り、専用の機械を当てるだけの痛みのない検査です。放射線も使わないので被ばくの心配もありません。


◎エコーで何が見えるの?

甲状腺の「形」の異常を細かく観察します。


① 全体が荒れていないか(びまん性病変)

甲状腺全体が腫れていたり、内部がザラザラしていたりしないかを見ます。また、甲状腺の中の血流の量が増えていないかも重要なチェックポイントです(バセドウ病などは血流が増える傾向があります)。


②「しこり」はないか(結節性病変)

甲状腺の中に「しこり」ができている場合、それが良性の「水ぶくれ(嚢胞)」なのか、治療が必要な「腫瘍」なのかを見極めます。また、甲状腺の周りにあるリンパ節が腫れていないかもあわせて確認します。


■もし「悪いしこり」が疑われたら? 精密検査


血液検査やエコーの結果、しこりが「悪性(がん)」である可能性が否定できない場合には、「穿刺吸引細胞診」という詳しい検査を検討します。これは、細い針をしこりに刺して細胞を吸い取り、顕微鏡で調べる検査です。


※当院では対応しておりません。


◎むやみに針を刺すわけではありません

すべてのしこりに針を刺すわけではありません。国内外の診療ガイドラインに基づき、「エコーで見たときのリスク(形や境界線の様子)」と「しこりの大きさ」を照らし合わせ、本当に必要な場合に限って行われます。


◎当院の対応について

当院では、針を刺す「細胞診」が必要と判断された場合は、提携している医療機関へ速やかにご紹介いたします。連携体制が整っておりますので、安心してご相談ください。


■気になる症状があれば、まずは「痛くない検査」から


甲状腺の病気は、10代〜20代の若い方や男性にも起こり得ます。以下のような変化があれば、我慢せずに一度検査を受けてみることをおすすめします。


  • 首の前側が腫れている、しこりがある

  • 理由もなくドキドキする(動悸)、手が震える

  • 暑がりで汗をかきやすくなった、食べているのに痩せる

  • 急に寒がりになった、むくみやすい、やる気が出ない


「急に首が大きく腫れた」「息苦しい」「声がかすれる」などの症状がある場合は、早めの受診が大切です。「何科に行けばいいかわからない」と迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。



清水ヶ岡糖尿病内科・皮フ科クリニック
医師
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