高血圧症というのは、血圧が普通よりも高い状態が続くことです。血圧が一時的に高いだけではなく、何度も測っても高いままであることが条件になります。今回は高血圧について、わかりやすく解説します。
目次
■高血圧の数値とは
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。血圧は体のすべての血管にありますが、通常は動脈、特に上腕動脈の圧力を指します。
心臓が収縮して血液を押し出すとき、血圧は最高値に達します。このときの血圧の値が最高血圧です。140mmHg以上が基準となります。
心臓が拡張して血液を受け入れるとき、血圧は最低値に達します。このときの血圧の値が最低血圧です。こちらは、90mmHg以上が基準です。
■高血圧の原因は
高血圧には2つのタイプがあります。本態性高血圧と二次性高血圧です。
二次性高血圧は、他の病気が原因で起こる高血圧のことですが、日本人が悩む高血圧は、本態性高血圧であることが多いです。
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・食塩の過剰摂取
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・肥満
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・飲酒
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・運動不足
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・ストレス
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・遺伝的体質
これら複数の要因が組み合わさって起こると考えられています。
■高血圧の症状は
多少血圧が高いだけでは自覚症状はありません。そのため、多くの人が自分の血圧が高いことに気づかず、長期間放置してしまうことがあります。しかし、血圧がかなり高い場合には、頭痛、めまい、肩こりなどの症状が現れることがあります。
■高血圧によって起こる病気
血管の壁は通常、弾力性があり柔軟ですが、高血圧の状態が長く続くと、血管は常に緊張状態になります。その結果、血管の壁が徐々に厚くなり、さらに硬くなります。
これが「動脈硬化」と呼ばれる状態です。動脈硬化は、大きな血管にも小さな血管にも影響を及ぼし、さまざまな病気の原因となります。
動脈硬化が進行すると以下のような病気が起こりやすくなります。
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・脳の血管が破れる「脳出血」や詰まる「脳梗塞」
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・大動脈が膨らむ「大動脈瘤」
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・腎臓の血管が硬くなる「腎硬化症」
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・心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」
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・目の奥の血管が破れる「眼底出血」
心臓も高い血圧に対抗するために無理をし続けると、心臓の筋肉が肥大し、「心臓肥大」となります。これが進行すると、「心不全」を引き起こすこともあります。
■高血圧の場合、食事で注意すること
日本の食生活は、食塩の摂取量が多くなりやすい特徴があります。高血圧の予防において重要なのは、食塩の摂取量を制限することです。
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・「健康日本21(第三次)」1日7g未満
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・「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
成人男性1日7.5g未満、成人女性1日6.5グラムg未満
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・日本高血圧学会では、高血圧患者1日6グラム未満
これが目標となります。
料理の味付けを薄味にし、しょうゆやソースをかけるのではなく、つけて使うようにするだけでも、食塩の摂取量を減らせます。漬け物をたくさん食べる習慣がある人や、味噌汁を2杯以上飲む人は、量を減らしてみましょう。
ラーメンなどの麺類のスープは全部飲んでしまうと、これだけで多くの食塩を摂ってしまうため注意してください。
■高血圧の対策
これらの対策を日常生活に取り入れることで、高血圧の予防や管理ができます。
◎運動
肥満は血圧を上げ、心臓や動脈に負担をかけます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行いましょう。
◎休息
日々の生活の中で、過労や緊張、精神的ストレスを避けるために、規則正しい生活を送り、十分な休養をとることが大切です。過重労働や夜更かしは控え、疲れをためないようにしましょう。
◎寒さ
寒い場所に急に出ると血管が収縮して血圧が上がることがあります。冬場は、室内と外気の温度差をなるべく減らすように工夫してみましょう。
外出時にはマスクやマフラー、手袋を着用して肌の露出部分を少なくすることも大切です。
また、居間と浴室、トイレの温度差が少ないように暖房や衣服に気をつけましょう。
◎入浴
特に冬場は、寒い脱衣所で裸になると血圧が上がりやすく、熱いお風呂に入るとさらに上がります。お風呂に浸かっていると徐々に血圧が下がり、お風呂から上がると大きく下がることがあります。
あまり熱い湯(42℃以上)ではなく、ぬるめ(40℃程度)の湯に5〜10分間浸かるようにしましょう。また、脱衣所や浴室を暖かくしておくことも大切です。
◎排泄
排便時に力むと血圧が上がるため、便秘を予防することが重要です。食物繊維の多い食事を心掛けましょう。
◎たばこ、アルコール
喫煙は血管を収縮させ血圧を上げるだけでなく、動脈硬化の原因にもなります。禁煙をすることでさまざまな病気のリスクを軽減できます。また、少量の飲酒は動脈硬化を軽減する効果もありますが、大量飲酒は控えるようにしましょう。
■高血圧は症状がないため、定期的な診察も重要
高血圧はほとんど自覚症状がないため、気づかないまま進行してしまうことがあります。放置すると動脈硬化や脳卒中など重大な病気のリスクが高まります。
自身の健康状態を把握するためにも、毎年健診を受けるようにしましょう。心電図や眼底検査などは、高血圧が長期にわたって身体に影響を与えてないか確認できます。まずはお気軽にご相談ください。