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高血圧治療薬に記憶力維持作用

こんにちは、高血圧治療薬として頻用されるレニン・アンジオテンシン系の薬剤は脳への移行性の違いにより記憶力維持作用に差が出る可能性について今回の文献では報告しています。高血圧治療の薬剤選択の一助となりそうです。

Blood-Brain Barrier Crossing Renin-Angiotensin Drugs and Cognition in the Elderly: A Meta-Analysis. Ho JK, et al.  Hypertension. 2021 Jun 21.

 血液脳関門を透過するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬と血液脳関門を透過しないRAS阻害薬の認知機能に対する有益性をメタ解析で比較。6カ国(オーストラリア、カナダ、ドイツ、アイルランド、日本、米国)、14コホートの患者計1万2849例の長期データを対象に、認知機能7項目(注意、実行機能、言語、言語の記憶学習、想起、精神状態、処理速度)を評価した。
 その結果、最大3年の追跡期間で、血液脳関門透過性RAS阻害薬を服用している高齢患者は、非透過性RAS阻害薬を服用している高齢患者に比べて、心血管リスクがいくぶん高いが、記憶想起が良好だった。一方で、非透過性阻害薬を服用している高齢者の方が注意力が良好でこれは血管リスクが低下したことが一因にあると考えられた。
血液脳関門を通過しやすいテルミサルタン、オルメサルタン、カプトリルを用いたグループで記憶力の低下が緩徐になる傾向があった。