
健康診断の時期になると、気になるのが「血圧」です。
「私の血圧って正常?」
「年齢ごとの平均値に収まっていれば安心?」
など、ご自身の数値が基準に合っているか不安に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、血圧の「正常な数値」や「分類の基準」、正しい測り方、そして高血圧・低血圧になりやすい人の特徴をわかりやすく解説します。ご自身の血圧と照らし合わせながら読んでみてください。
目次
■「正常な血圧」の基準って? 病院と自宅で数値が違う理由
血圧の基準をチェックするとき、実は「どこで測ったか」がとても重要になります。病院で測る血圧と、自宅で測る血圧では、基準となる数値が少し異なるからです。
◎あなたの血圧はどの分類? 基準となる数値の目安
ガイドライン(日本高血圧学会)では、血圧の分類は以下のように設定されています。自宅のほうがリラックスして血圧が低く出やすいため、家庭血圧の基準値は少し低く(厳しく)なっています。
正常血圧
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・(病院)上が120未満かつ下が80未満
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・(家庭)上が115未満かつ下が75未満
正常高値血圧(高めだが正常の範囲)
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・(病院)上が120〜129かつ下が80未満 など
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・(家庭)上が115〜124かつ下が75未満 など
高値血圧(放置せず管理が必要な段階)
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・(病院)上が130〜139 または 下が80〜89
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・(家庭)上が125〜134 または 下が75〜84
高血圧(治療が必要な段階)
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・(病院) 上が140以上 または 下が90以上
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・(家庭) 上が135以上 または 下が85以上
※この数値を超えたからといって
「即、病気確定」というわけではありません。
あくまで目安や分類です。
◎本当の血圧が隠れている?「白衣高血圧」と「仮面高血圧」
病院での数値よりも「自宅での血圧(家庭血圧)」がより重視される傾向にあります。その理由は、以下のようなケースがあるからです。
白衣高血圧
普段は正常なのに、病院で医師(白衣)を前にすると緊張して血圧が上がってしまう状態。
仮面高血圧
病院では正常なのに、自宅や職場などで測ると高血圧になっている状態。「健康診断では正常だったから」と安心せず、日頃から家庭で血圧を測る習慣をつけることが大切です。
◎家庭血圧を正しく測るコツ
家庭血圧の数値は測り方によってブレやすいため、正しい条件で測ることがポイントです。
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・測るタイミング
朝は「起床後1時間以内・トイレ後・朝食や薬の前」、夜は「寝る前」に。
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・姿勢
椅子に座って1〜2分安静にしてから測りましょう。原則として「上腕(二の腕)式」の血圧計を使い、腕は心臓の高さに保ちます。
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・回数
できれば2回測って平均を見ます。まずは7日間程度続けてみましょう。
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・注意点
カフェイン、喫煙、運動直後、おしゃべり、寒さは血圧が上がりやすいので避けるのが基本です。
■日本人の「平均」=「正常」ではない? 年代別の傾向
「ネットで同年代の平均値を調べたら自分と同じくらいだったから、正常だ!」と思うのは、実は少し危険です。
◎気をつけたい「平均値」の落とし穴
厚生労働省のデータなどを見ると、血圧の平均値は年齢とともに上がっていく傾向があります。血管は年齢を重ねると少しずつ硬くなるため、これはある程度自然な変化です。
しかし、「平均値」は全体の真ん中あたりを示しているだけで、「健康で安全な正常値」という意味ではありません。
たとえ同年代の平均と同じでも、基準(家庭で135/85mmHgなど)を超えていれば、体には負担がかかっている状態です。「平均だから大丈夫」ではなく、「基準に収まっているか」を確認するようにしましょう。
◎海外の基準と日本の基準
ちなみに、アメリカ(ACC/AHA)の基準では、上が120未満かつ下が80未満を「正常」とし、130/80mmHg以上から段階的に注意喚起する枠組みが採用されています。
世界的に「血圧は一般に低めに保つのが望ましい」という考え方が広まっています。ただし、日本でも家庭血圧が135/85を超える状態が続く場合は、将来の心血管リスク(心筋梗塞や脳卒中など)が上がるため、生活習慣の見直しや医師への相談が重要です。
■数値だけでは決まらない?「低血圧」の目安と注意点
高血圧の基準は明確ですが、「低血圧」はどうなのでしょうか。
◎低血圧には明確な「治療基準」がない?
海外の医療機関などの情報では、「上が90mmHg未満、または下が60mmHg未満」を一般的な低血圧の目安と説明することがほとんどです。日本でも、上が100mmHg前後を目安として説明されることがあります。
しかし、低血圧は「この数値になったら即治療」と一律に決まるものではありません。もともと血圧が低くても、めまいやだるさなどの症状がなく元気に過ごせているなら、基本的には問題ないとされています。
◎すぐに受診すべき「危険な低血圧」のサイン
ただし、数値だけでなく「急激な変化」や「危険な症状」を伴う場合は注意が必要です。
失神する、意識が遠のく、胸の痛み、強い息切れ、冷や汗、吐血・下血、激しい下痢や嘔吐、妊娠中で症状が強い、といった場合は、背景に別の病気が隠れているかもしれません。すぐに医療機関を受診するか救急相談をしてください。
◎急に立ち上がるとクラッ…「起立性低血圧」のサインと対策
座っていたり寝ていたりする状態から急に立ち上がったとき、脳に血が回らなくなる状態を「起立性低血圧(立ちくらみ)」と呼びます。
脱水や貧血、自律神経の乱れ、お薬の影響などが原因になりやすいため、「水分や塩分、睡眠をしっかりとる」「急に立ち上がらず、ゆっくり動く」といった日常のセルフケアを意識してみてください。
■あなたは当てはまる? 高血圧・低血圧になりやすい人の特徴
どのような生活習慣や体質の人が高血圧・低血圧になりやすいのか、その傾向をご紹介します。
◎高血圧を招きやすい生活習慣
高血圧は、日々の生活習慣が大きく影響します。以下の項目に当てはまるものが多いほど、血管に負担をかけているかもしれません。
塩分の多い食生活
ラーメンのスープを飲み干す、加工食品や外食が多い。
お酒やタバコ
毎日のようにお酒をたくさん飲む、喫煙習慣がある。
睡眠の問題
睡眠不足が続いている。いびきがひどい(睡眠時無呼吸症候群の疑い)。
強いストレス
常に緊張状態にあったり、イライラしやすかったりする。
運動不足・加齢・家族歴
家族に高血圧の人がいる場合や、年齢とともにリスクは上がります。
◎低血圧になりやすい体質と日常の落とし穴
一方で、低血圧になりやすい人には以下のような傾向があります。
体質・年齢
若い女性や、やせ型で筋肉量が少ない人。
水分不足(脱水)
汗をたくさんかいた後や、下痢、食事量が減って水分が足りていない状態。
貧血
血液中の酸素を運ぶ機能が低下している状態。
長時間の立ち仕事
重力で血液が足に溜まりやすくなります。
お薬の影響
他の病気のお薬(降圧薬や利尿薬など)の影響で下がりすぎているケース。
■まとめ:血圧は体からの大切なメッセージ
「同年代の平均値と同じだから安心」というわけではありません。ご自身の体質や測る環境によって、血圧が持つ意味は変わってきます。血圧は、毎日休まず働いてくれている体からの大切なメッセージ(サイン)です。
もし「基準より高い日が続いている」「血圧が低くてめまいや立ちくらみがつらい」など、少しでも気になることがあれば、自己判断せず、ご相談ください。健康な毎日を守るために、一緒にご自身の血圧と向き合っていきましょう。

