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DPP-4阻害薬で糖尿病患者の認知機能改善

こんにちは、糖尿病患者さんはアルツハイマー病を発症する可能性が糖尿病がない方と比べると約2倍高いといわれています。今回の文献では糖尿病治療薬のDPP4阻害薬がアルツハイマー病の発症を抑制する効果があるかもしれないと報告しています。

Association of Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitor Use and Amyloid Burden in Diabetic Patients With AD-Related Cognitive Impairment.
Jeong SH, et al. Neurology. 2021 Aug 11. 

 アルツハイマー病による認知機能障害(ADCI)を呈する患者282例(糖尿病あり141例、糖尿病なし141例)を対象に、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害薬(DPP-4i)によるアミロイド負荷および認知機能転帰への効果を後ろ向きレビューで検討した。

 その結果、年齢、性別、APOE ε4保有の有無などで調整後、DPP-4i使用の糖尿病群の全アミロイド負荷が、DPP-4i不使用の糖尿病群(β=0.075、P=0.002)および非糖尿病群(β=0.054、P=0.010)よりも低く、側頭頭頂部でのアミロイド負荷も低かった。線形混合モデルを用いたミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの縦断的変化の評価では、DPP-4i不使用の糖尿病群と比べると、DPP-4i使用の糖尿病群のMMSE検査スコア(β=0.772、P=0.005)および記憶想起サブスコア(β=0.291、P=0.012)に経時的な低下の遅延が見られた。