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糖尿病性神経障害

こんにちは、今回は糖尿病性神経障害についてお話しします。糖尿病神経障害は、高血糖によって神経が障害されることで起こります。神経は全身に張り巡らされているため、全身に影響を及ぼし多彩な症状を引き起こします。前回までお話してきました網膜症や腎症とともに糖尿病に特徴的な合併症です。

症状のなかでもとくに患者さんに苦痛を与えるのは、足や手のしびれ・痛みです。痛みのために睡眠不足になったり、気持ちが落ち込んでしまう方も少なくありません。また治療開始後に神経の働きが戻ることで一時的にしびれや痛みが悪化することもありますが、それは回復の一過程ですので、根気よく治療を続けましょう。


糖尿病性神経障害の主な症状
・手足のしびれや痛み…
   両足・両手に左右対称の同じ部分にしびれや痛み、異常な感覚が現れます。両足の
   症状から始まることがほとんどです。
・痛みや熱さに鈍くなる…
   痛みや熱さを感じにくくなります。そのため、怪我ややけどに気づかず、悪化させ
   てしまうことがあります。
・下痢や便秘…
   腸の働きが乱れるため、ひどい下痢や便秘を繰り返します。
・胃の働きが乱れる…
   本来は食後に活発に働くはずの胃が働かず、消化リズムが乱れます。それが血糖
   コントロールに悪影響を及ぼすこともあります。
・ひどい立ちくらみ…
   血圧を適切に調節できなくなり、立ちくらみが起こります。
・低血糖がわからない…
   低血糖の自覚症状が現れずに、突然、自分ではなにもできなくなってしまうことが
   あります。
・尿意を感じない、排尿に時間がかかる…
   膀胱に尿が溜まっているのに尿意を催しにくくなるため、次第に膀胱が大きくな
   り、排尿に時間がかかったり、尿が出切らなくなります。
・勃起障害…
   勃起が長続きしない、勃起の固さが不十分、といった症状が現れます。
・顔の一部分が動かない…
   眼やまぶたを動かせなくなったりもします

糖尿病性神経障害の治療

軽症であれば血糖コントロールや生活習慣の改善を行い良くなることがあります。
痛みが軽度の場合には非ステロイド性消炎鎮痛剤を使用します。中程度以上の痛みがある場合は、三環系抗うつ薬、プレガバリン、デュロキセチンなどの内服薬を使用します。また、中等度以下で発症からまだ日が浅い方の場合は、アルドース還元酵素阻害薬という薬で進展が抑えられるという報告もあります。
痛み以外で日常生活に影響があるほど症状が強い場合は、症状に合わせた対応をします。