こんにちは、コロナ禍ではありますが健康診断を受けられ”コレステロール値がひっかかった”ということで受診される方が最近増えてきています。そこでホームページにも掲載していますが本日は脂質異常症についてお話ししたいと思います。
脂質には、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールがあります。LDLはいわゆる悪玉、HDLは善玉と呼ばれています。LDLコレステロールが140mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満、中性脂肪が150mg/dl以上、これらのうち一つでもあれば脂質異常症の診断となります。脂質異常症は、一般的には自覚症状はないため「健康診断でコレステロールが高いと言われました。」という形で気づくことがほとんどです。家族性でコレステロールの値が高い人もいますが、一般的には過食、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲み過ぎが脂質異常症と関係しています。また甲状腺ホルモンの少ない人もコレステロールが高くなることがあります。
LDLコレステロールは、肉や揚げ物の脂が多い食事で高くなります。牛乳や卵の摂りすぎや、食事の欧米化による野菜の摂取量の減少、大豆製品などの植物性蛋白の摂取量低下も関係しています。
HDLコレステロールは、食事そのものというより、運動不足や内臓脂肪が多い肥満で低下するとされています。中性脂肪は、糖質系の脂と言われています。お菓子の過剰摂取や果物、アルコールによって上昇していきます。
脂質異常症は動脈硬化の原因となります。LDLコレステロールや中性脂肪が必要以上に増えることで、気づかないうちに血管が傷つけられ、動脈硬化は進行し、 一方で、HDLコレステロールは動脈硬化を抑制をしているので、HDLが低いと動脈硬化の抑制がされにくくなってしまいます。 このように、脂質異常症は知らないうちに動脈硬化をどんどん進行させます。ある時、突然、脳の血管や心臓の血管が詰まってしまい、脳梗塞や心筋梗塞となり、命の危険に繋がることもあります。
脂質異常症の治療の目的は、コレステロールや中性脂肪を低下させることで、動脈硬化の進行を予防することです。脂質異常症=動脈硬化ではありませんので、脂質異常症と言われても、どれくらい動脈硬化が進んでいるかは検査しないとわかりません。ですので、心筋梗塞や脳梗塞に至っていない人は、これ以上の動脈硬化の進行を予防することが目的となります。心筋梗塞や脳梗塞になってしまった人は、それらの再発予防が目的です。治療にあたっては、人それぞれの管理目標値を基準に治療していきます。まず、HDLコレステロールは40mg/以上、中性脂肪は150mg/dl未満を目指します。LDLコレステロールは、リスクによって管理目標値が分類されています。狭心症や心筋梗塞と既に診断されていたり治療されている方は、再発予防が重要なので、正常値以下のLDLコレステロール100mg/dl未満が目標です。ですが、「lower is better」と言われ、より下げることがより良いとされています。心筋梗塞等はなく、糖尿病、慢性腎臓病、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化性)のいずれかがある人は、冠動脈疾患死亡高リスク郡に分類され、LDLコレステロール120mg/dl未満を目標にします。高リスクとなる疾患がない人は、性別・年齢・喫煙状況・収縮期血圧から点数化し、冠動脈疾患死亡リスクが2%以上あるならば高リスクと同様、LDLコレステロール120mg/dl未満、リスクが0.5~2%であるならば中リスクとしLDLコレステロール140mg/dl未満、リスクが0.5%未満であるならばLDLコレステロール160mg/dl未満を目標値としていきます。 それらの目標値に沿って食事・運動・薬物療法を行いますが基礎疾患のある方は早期から薬物治療が必要になることが多いです。
健診でコレステロールが高いと言われた方や治療の見直しを考えてみる方、またコレステロールが高い方で一度甲状腺疾患があるかどうかを調べてみたいと思われている方はお気軽に受診してください。