ブログ blog

コロナ抗原検査の感度、濃厚接触者で60%以上

こんにちは、本日はコロナ感染症の検査についての文献を紹介します。今回の論文では無症状のコロナ感染者ではPCR検査に比べ感度は低くなるものの、それでも抗原検査で60%ほどは陽性となることが示されています。有症状の場合には抗原検査の感度はさらに高くなっています。そして抗原検査で陽性であればPCR検査をしなくてもコロナ感染陽性であるということが示されています。発熱、咽頭痛、下痢などの症状があるだけでなく濃厚接触が疑わしければ積極的にコロナ抗原検査を受けることが望ましいと思われます。当院でも抗原検査、PCR検査どちらも検査可能ですのでご心配な方はお問い合わせください。

Diagnostic accuracy of rapid antigen tests in asymptomatic and presymptomatic close contacts of individuals with confirmed SARS-CoV-2 infection: cross sectional study.
Schuit E, et al.   BMJ. 2021; 374: n1676.

 オランダで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)迅速抗原検査2種(Beckton Dickinson社のVeritor System、Roche Diagnostics社のBiosensor)の診断精度を前向き横断研究で評価。感染者との接触後5日目に検査を実施した無症状および発症前の16歳以上の濃厚接触者4274例を対象に、両検査の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を、RT-PCR検査を参照標準として評価した。RT-PCR検査陽性者の95%がウイルス培養陽性となるウイルス量カットオフ値(SARS-CoV-2 E遺伝子5.2 log10コピー/mL以上)を感染性の代用とした。

 Veritor Systemを用いた2678例では、233例(8.7%)がRT-PCR陽性で、そのうち149例が迅速抗原検査も陽性だった(感度63.9%)。Biosensorを用いた1596例では、132例(8.3%)がRT-PCR陽性で、そのうち83例が迅速抗原検査でも陽性だった(同62.9%)。検体採取時に症状がなかった人での感度は、Veritor System 58.7%、Biosensor 59.4%、発症者での感度はそれぞれ84.2%、73.3%だった。感染性に関してウイルス量カットオフ値を適用した場合、全体の感度はVeritor System 90.1%、Biosensor 86.8%、終始症状がなかった人での感度は、それぞれ88.1%、85.1%だった。いずれの解析でも、両迅速抗原検査の特異度は99%以上、陽性適中率は90%以上、陰性適中率は95%以上だった。