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メトホルミンがCOPDの症状を改善する可能性

こんにちは、今回は糖尿病治療薬としてよく使用されるメトホルミンについての話題です。長年の喫煙により慢性閉塞性肺疾患(COPD)となる方が多くみえますが、メトホルミンはAMPKという経路を介して肺の炎症等を防御する可能性が示されています。

 Metformin: Experimental and Clinical Evidence for a Potential Role in Emphysema Treatment.
Polverino F, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2021 May 25. Online ahead of print.

 たばこの煙が誘発する気腫性の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病状に対するメトホルミンの緩和効果をマウスおよびヒト試験で検討した。
 マウス試験では、マウスを慢性的なたばこ煙に曝露し、曝露の後半にメトホルミンを投与した。その結果、メトホルミンはin vivoおよびin vitroでたばこ煙誘発性の肺炎症、空域拡大、末梢気道リモデリング、糸球体縮小、酸化ストレス、テロメア損傷、老化、代謝異常および小胞体(ER)ストレスを防御し、AMPK経路が防御活性の中心だった。COPD発症の遺伝的要因を調査する大規模な多施設共同研究のCOPDGene試験被験者を対象に、5年間追跡調査した結果、メトホルミン投与患者群は非投与群に比べ、肺気腫の進行遅延(-0.92%、CI -1.7%--0.14%、P=0.02)および調整後肺密度の低下(2.2g/L、95%CI 0.43g/L-4.0g/L、P=0.01)が確認された。