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家族性高コレステロール血症、診断時年齢は44歳

こんにちは、今回は脂質異常症(高コレステロール血症)についての文献を紹介します。動脈硬化を引き起こすLDLコレステロールが未治療な状態で180㎎/dl以上ですと家族性高コレステロール血症の可能性が高く心血管疾患のリスクが上昇します。健診項目にあるため、たいてい健診時に高コレステロール血症が発見されます。しかしながら健診を行わなければLDLコレステロールが高いのみでは自覚症状もないため発見が遅れがちです。今回の論文でも早期治療が必要にもかかわらず家族性高コレステロール血症の診断時年齢が高いことが報告されています。

EAS Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration (FHSC). Global perspective of familial hypercholesterolaemia: a cross-sectional study from the EAS Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration (FHSC).  Lancet. 2021 Sep 7. 

欧州動脈硬化学会の家族性高コレステロール血症(FH)研究共同体グローバルレジストリのデータを用いて、18歳以上のヘテロ接合性FH患者の診断や疾患管理の実態を横断的に調査。
 世界56カ国のヘテロ接合性FH患者4万2167例(年齢中央値46.2歳、女性53.6%)を解析対象とした。患者の75.4%がDutch Lipid Clinic Network基準により診断され、84.2%がWHOの地域分類で欧州出身だった。
 FH診断時の年齢中央値は44.4歳で、参加者の40.2%が診断時40歳未満だった。心血管危険因子の保有率は年齢と共に高くなった。冠動脈疾患の有病率は17.4%(脳卒中2.1%、末梢動脈疾患5.2%)で、未治療LDLコレステロール(LDL-C)値が高いほど高く、女性の割合が男性の約2分の1だった。
 脂質低下薬使用者の81.1%がスタチン系薬を使用、21.2%が脂質低下薬を併用しており、男性は女性よりも強力な脂質低下薬を使用していた。LDL-C中央値は、脂質低下薬非使用者5.43mmol/L(210㎎/dL)、脂質低下薬使用者4.23mmol/Lだった。脂質低下薬使用者の2.7%がLDL-C値1.8mmol/L未満で、併用療法、特に3剤併用やPCSK9阻害薬の使用でLDL-C値1.8mmol/L未満のオッズが高くなった。初発例と比較すると、非初発例は若年で、LDL-C値が低く、心血管危険因子や心血管疾患の有病率が低かった(いずれもP<0.001)。