血圧や血糖にコレステロールも高めのとき血管リスクをセルフチェックする手順

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血圧や血糖にコレステロールも高めのとき血管リスクをセルフチェックする手順

血圧や血糖にコレステロールも高めのとき血管リスクをセルフチェックする手順

複数項目の「少し高め」を整理して次の一手を考える


血圧や血糖値、コレステロールがそろって高めのときは、一つひとつの外れ方が小さくても血管への負担が重なりやすいため、測る条件をそろえて全体のようすを確かめることが大切です。この記事では、健診の結果と家での記録をもとに血管に関わる要素を整理する手順や、数値が変わる理由、医療機関へ相談する目安を順にお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 血圧や血糖、コレステロールなどのいくつかが少し高めのときは、年齢やたばこ、家族の病気、これまでの数値の動きもあわせて見る。
  • 健診票では、血圧をどこで測ったか、血糖とHbA1c、脂質の3つを、採血のときの条件とあわせて整理する。
  • 家庭の血圧は朝と夜の条件をそろえて1〜2週間書きとめ、数値や症状に応じて医療機関へ相談する。

血圧・血糖・コレステロールが「そろって少し高め」は、一つだけ高い場合と何が違う?


軽い数値の乱れであっても複数の項目が重なると動脈硬化が進みやすくなるため、一項目ずつの判定より心筋梗塞や脳卒中への影響を重く見る必要があります123。それぞれの項目が血管にどう関わるのか、数値以外の背景とあわせて整理していきます。


軽度の異常が重なると血管への負担が強まりやすい理由


高血圧と高血糖、脂質異常症は、それぞれ異なる仕組みで血管に負担をかけます。血圧が高い状態は血管の壁に強い圧力をかけ続け、高血糖は血管の内側を傷つきやすくし、LDLコレステロールは傷ついた壁に入り込んで溜まりやすくなります123。


内臓脂肪の蓄積にこれらが重なった状態をメタボリックシンドロームと呼び、腎臓のろ過機能が落ちる慢性腎臓病(CKD)のリスクにも関わります。一つひとつは境界域でも、重なり合うことで血管のしなやかさが失われやすくなる点に注意が必要です。


年齢・喫煙・親の脳梗塞歴は数値と並べて確認したい要因


コレステロールなどの目標の値は、検査の数値だけでなく、年齢や性別、たばこを吸うかどうか、高血圧や糖尿病があるか、家族がかかった病気などをあわせて決めます。50代の男性でたばこを吸っていて、親が若いころに脳梗塞や心筋梗塞になっている場合は、同じ数値でも血管への影響をより重く見ることになります。


数値が「少し高いだけ」に見えても、こうした背景が重なっているときは早めの確認が役立ちます。ご自身の生活習慣や血縁者の病歴を、健診票の横に書き出してみてください。


健診票の判定欄だけでは受診の優先度を決めにくいわけ


健康診断の判定は項目ごとに付けられるため、血圧・血糖・脂質の三つに「要観察」が並んでいても、総合判定が急に重く変わるとは限りません。そのため、重なりによる負担の大きさは判定欄の文字だけでは読み取りにくいところがあります。


確認の際は、今年の結果だけでなく過去数年分の健診票を並べてみてください。毎年じわじわと数値が上がっているなら、早めにご相談いただく材料になります。


ポイント

一つひとつの数値の乱れが軽くても、いくつかの項目やたばこ、家族の病気が重なると、血管にかかる負担は増えやすくなります。これまで数年分の数値の動きとあわせて、全体を見わたすことが大切です。


健診票と家庭の記録では、どの項目をどんな目安で確認すればいい?

健診票と家庭の記録では、どの項目をどんな目安で確認すればいい?

血圧は測る場所で基準が異なり3、血糖は空腹時の値とHbA1cを組み合わせ4、脂質は3項目をそろえて確認します2。これらの数値は病気の確定診断ではなく、医師へ相談する目安としてお使いください。


確認項目確認の目安となる基準見る際の注意点
血圧診察室:140/90mmHg以上3<br>家庭:135/85mmHg以上3家庭での測定値は診察室より少し低い基準でみます
血糖空腹時血糖:110〜125mg/dL(境界型)、126mg/dL以上(糖尿病型)4<br>HbA1c:6.5%以上(糖尿病型)4採血時の食事条件と過去1〜2か月の傾向を合わせます
脂質LDL:120〜139mg/dL(境界域)、140mg/dL以上2<br>HDL:40mg/dL未満2<br>中性脂肪:空腹時150mg/dL以上(食後は175mg/dL以上)23項目をそろえて確認し、採血前の食事時間も振り返ります

血圧は「診察室の値」と「家庭の値」で目安が異なる


診察室で測る血圧は、上が140mmHg以上か下が90mmHg以上で高血圧とされ、家庭で測る血圧はそれより低い基準(135/85mmHg以上)で見ます。健診会場では緊張から血圧が上がる「白衣高血圧」が起きる一方、健診では正常でも自宅の朝などに高くなる「仮面高血圧」もあります。


自宅で測ったときに健診より低い日があったとしても、それだけで様子見を決めず、上記の基準に照らして日々の平均を見ることが大切です。


空腹時血糖とHbA1c:「その瞬間の値」と「最近1〜2か月の傾向」を組み合わせる


血糖値は採血したその瞬間の値であり、直前の食事や時間帯で動きます。これに対し、HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均的な傾向を映し出す指標です1。


血糖の値は、「正常型」「境界型」「糖尿病型」の3つに分けられます4。空腹時の血糖は100mg/dL未満がふつうの範囲で、100〜109mg/dLは正常型のなかでも「やや高め(正常高値)」にあたります。110〜125mg/dLは境界型、126mg/dL以上か、HbA1cが6.5%以上なら糖尿病型とされます。


糖尿病と診断されるのは、糖尿病型が2回確かめられるなど、決まった条件がそろったときです4。そのため、両方の値を組み合わせて読み解く必要があります。


LDL・HDL・中性脂肪は三つそろえて読む


脂質の欄は、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールだけでなく、善玉のHDLコレステロール、中性脂肪の三つを並べて確認します2。LDLは140mg/dL以上(120〜139mg/dLは境界域)、HDLは40mg/dL未満、空腹時の中性脂肪は150mg/dL以上が脂質異常症の基準です5。


中性脂肪は食事の影響を強く受けるため、食後など空腹ではないときの採血では、175mg/dL以上も脂質異常症の基準に加わっています2。また、LDLコレステロールをどこまで下げるべきかは、喫煙や高血圧などの有無によって一人ひとり異なります2。


数値と採血・測定条件を一枚にまとめる確認表の作り方


手もとの情報をまとめるときは、紙を1枚用意してください。健診を受けた日、採血が空腹のときか食後か、それぞれの項目の今年と去年の値を縦に書き出してみてください。そこへ今のBMI(体格指数)や1日に吸うたばこの本数、親やきょうだいに脳卒中・心臓病・糖尿病の人がいるかを書き添えます。


こうして一枚にまとめておくと、ご自身で状況を把握しやすくなるだけでなく、受診した際に医師へそのまま見せて相談を進めることができます。


家庭の血圧や空腹時の血糖が低めの日があるなら、様子を見ていてもいい?


測る時間や条件がばらついた数値や、たまたま低かった日の記録だけでは判断材料になりにくいため、条件をそろえて1〜2週間測った平均値で確かめる必要があります。迷ったまま何年も放置せず、まずは短期間の記録から始めてみてください。


朝と夜で条件をそろえる家庭血圧の測り方の手順


家庭血圧は、毎日同じ条件で測ることで変化を捉えやすくなります。手首式ではなく上腕に巻くタイプの血圧計を使い、カフ(腕帯)を心臓と同じ高さに保って測定しましょう。


  • 朝の測定:起きてから1時間以内、トイレを済ませたあと、朝ごはんや薬を飲む前に測る6
  • 夜の測定:寝る前に測る(おふろやお酒のすぐあとは避ける)
  • 測り方の基本:椅子に座って1〜2分静かに休んでから、1度に2回測って両方を書きとめる

測定前の喫煙やコーヒーの摂取、運動は数値を変動させるため控えてください。


低い日だけを拾わないための記録の残し方


何度か測り直して一番低かった数値だけを手帳に書くと、実際の血管への負担が見えなくなってしまいます。測った値はすべてそのまま書き残し、まずは1〜2週間続けて朝の平均と夜の平均を出してみてください。


朝早く出かけた日や夜勤明け、よく眠れなかった日、夕ごはんが遅くなった日などは、すみに一言メモを添えておきます。1〜2週間の平均が135/85mmHgをこえているなら、様子見を続けずに医師へ相談する目安になります。


血糖も測るタイミングで値が変わる


血糖値も測るタイミングで大きく変わります。空腹時の血糖値や尿糖が基準の範囲内であっても、食後に血糖値が大きく跳ね上がる段階があり、空腹時の検査だけではこの変化を見逃してしまうことがあります4。


尿に糖が出るのは血糖値がかなり高くなってからで、尿糖の検査が力を発揮するのは食後のタイミングです(ただしご高齢の方では尿に糖が出にくくなるため過信は禁物です)。


セルフチェックで分かることの限界は?急ぐべき症状と相談の目安は?


セルフチェックは数値や背景を整理する手段であり、病気の診断や将来の発症予測まではできないため、記録がまとまった段階で医師と一緒に確認することが大切です。胸の痛みなどの症状がある場合は、記録を待たずに救急受診を優先してください。


よくある誤解:「自覚症状がなく家庭の値も低めなら様子見でよい」


血圧や血糖、コレステロールの異常は、かなり進むまで痛みなどの自覚症状がほとんど現れません35。また、自宅で測れるのは血圧や体重などに限られ、血管の傷み具合や、腎臓・肝臓(ALTなどの肝機能や脂肪肝)といった臓器の状態まではセルフチェックでは分かりません。


「体調が良いから大丈夫」と自己判断で先延ばしにせず、血液検査や尿検査、必要に応じた超音波検査などで身体の内部を客観的に確かめることに意味があります。


記録より救急受診を優先したい症状


もし次のような症状が現れた場合は、家庭での記録や様子見をすぐにやめ、救急車を呼ぶなど緊急の受診を優先してください。


  • 胸が強く締めつけられる、押されるような痛みや息苦しさ、冷や汗が出る
  • 顔や腕、足の片側だけに急な麻痺やしびれが出る、力が入らない
  • 急にろれつが回らなくなる、言葉が出にくい、片方の目が見えにくい、激しい頭痛がする

これらは心筋梗塞や脳卒中が疑われるサインであり、一刻も早い対応が求められます。


症状がなくても内科へ相談したい条件別の目安


症状がなくても、次のようなときは内科や内分泌内科への相談をご検討ください。血圧・血糖・脂質のいくつかが境界域をこえ、たばこや親の脳卒中も重なるときが一つです。空腹時血糖やHbA1cが糖尿病型の範囲にあるとき4や、家庭の血圧の平均が135/85mmHgをこえる日が続くときも当てはまります。


受診したからといって、その日から必ず複数の薬が始まるとは限りません。まずは検査で原因や全体の状態を確かめ、納得して続けやすい食事や運動の見直しから始めるか、薬の力を借りるかを暮らし方に合わせて相談していきます。


名古屋市瑞穂区の当院へ相談する前にそろえたい記録と持参物


相談にお越しいただくときは、今回の健診票だけでなく過去数年分の結果表と、1〜2週間分の家庭血圧の記録をご用意ください。お薬手帳(飲んでいるサプリメントの情報も)や、たばこの本数、ご家族の病歴のメモもそろえていただくとお話がスムーズです。


なお、医師が必要とみた再検査には、健康保険が使えます。人間ドックなど保険が使えない検査として受けるときは、数千〜数万円ほどかかるのが一般的です(当院の費用ではなく、金額は医療機関ごとに異なります)。


採血のあと、針を刺したところに内出血や青あざができることがまれにあります。多くは自然に治まりますが、まれに血のかたまりが神経などを押して痛みが出ることもあります。


清水ヶ岡クリニックでは、ご持参いただいた健診結果や家庭での記録も参考にしながら、内科・内分泌内科で血圧と血糖、脂質をまとめて確認できます。これからどんな検査や治療を行うのか、それぞれのメリットやデメリットをご理解いただいてから進めてまいりますので、些細なことでもお気軽にご質問ください。


ポイント

自覚症状がなくても、複数の異常や家族歴・喫煙が重なるときは早めの相談が役立ちます。健診票と1〜2週間の家庭血圧メモを手元にそろえるところから始めてみてください。


よくある質問


Q. コレステロール値を自分でチェックする方法はありますか?


A. 家庭用の血圧計のように、家で毎日のコレステロールの値をじかに測る、広く使われている機器はありません。そのため、健康診断や病院の血液検査で数値を確かめ、家では体重やおなかまわり、食べたもの、運動を書きとめて、ようすを見ていくのが現実的です。家族にコレステロールが高い人や、心筋梗塞・脳卒中になった人がいるときは、早めに病院の検査で自分の数値を確かめておくと、これからの対策を考えやすくなります2。


Q. コーヒーを飲むとコレステロールは下がりますか?


A. コーヒーに含まれる成分と健康に関する研究はいくつかありますが、コーヒーを飲むだけでコレステロール値が下がるとは言えません。反対に、砂糖やミルク、クリームを多く入れて飲む習慣があると、エネルギーや脂質の摂りすぎにつながり、血糖値や中性脂肪、LDLコレステロールに悪影響を及ぼすことがあります。また、家で血圧を測る前は、コーヒーやお茶などカフェインを含む飲み物を控え、1〜2分ほど椅子に座って休んでから測りましょう7。


Q. 健診で血圧が150台でしたが症状はありません。すぐ受診すべきですか?


A. 頭が重い、胸が苦しいなどの症状がなければ、その日のうちに慌てて救急外来へ駆け込む必要は通常ありません。ただし、症状がないまま血管への負担が進むのが高血圧の特徴です。まずはご自宅で朝と夜の血圧を条件をそろえて1〜2週間測り、その記録と健診票を持って内科へご相談ください。家庭での測定でも高い値が続く場合や、血糖・脂質の異常も重なっている場合は、先延ばしにせず受診することをおすすめします。


参考文献


1. 厚生労働省. 糖尿病(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-002

2. 日本動脈硬化学会. 脂質異常症診療のQ&A. https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/

3. 高血圧 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003.html

4. 国立健康危機管理研究機構. 糖尿病は早く見つけましょう(糖尿病情報センター). https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/030/010/01.html

5. 脂質異常症 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-004.html

6. 血圧・睡眠時間・体重の記録 – 横浜市 健康福祉局. https://enjoy-walking.city.yokohama.lg.jp/walkingpoint/feature/

7. 血圧が高めの方へ|とうきょう健康ステーション. https://kenko-station.metro.tokyo.lg.jp/category1/junkanki/kouketsuatsu.html


清水 裕史

医師


清水ヶ岡クリニック

院長

清水 裕史

▶ 監修者プロフィール

経歴
1999年 名古屋大学医学部卒業
1999年 春日井市民病院研修医
2001年 春日井市民病院内科
2005年 名古屋大学大学院医学系研究科
2009年 米国シンシナティ大学留学
2011年 ひまわりクリニック
    大雄会ルーセントクリニック
2012年 千秋病院、済衆館病院
2013年 あおい在宅診療所
2016年 公立西知多総合病院 内分泌・代謝内科部長
2018年 独立行政法人地域医療機能推進機構
    中京病院内分泌・糖尿病内科診療部長兼
    糖尿病センター長
2020年 清水ヶ岡クリニック開院
資格・所属学会
【資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本糖尿病学会専門医
日本医師会認定産業医
【所属学会】
日本内科学会
日本糖尿病学会
日本内分泌学会