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超加工食品の摂りすぎには注意

こんにちは、普段の食生活において加工食品は便利なためよく利用されますが、今回の文献ではそうした”超”加工食品の消費増加は総死亡の上昇と関連するため摂りすぎに注意が必要といった内容になっています。

論文の内容は以下を参考にしてください。
Association Between Ultraprocessed Food Consumption and Risk of Mortality Among Middle-aged Adults in France
Schnabel L et al.  JAMA Intern Med. 2019;179(4):490-498

超加工食品の摂取量が多いことが、感染症を除く多くの疾患の発症率を高めることを示すエビデンスが蓄積されつつある。パリ13大学(フランス)のLaure Schnabel氏らは、現在も進行中のコホート研究NutriNet-Sante Studyのデータを解析し、超加工食品の摂取量増加が45歳以上の成人の総死亡率の上昇に関連していたと報告した。

 超加工食品は一般に、エネルギー摂取量が高く、精製された炭水化物や飽和脂肪酸、食塩を豊富に含む一方で、食物繊維の含有量は少なく、食品添加物などを多く含む。これまでの研究から、超加工食品の摂取は、脂質異常症、肥満、高血圧、癌のリスクを上昇させることが示唆されている。しかし、超加工食品と総死亡率の関係については、まだ検討されていなかった。そこで著者らは、フランスのコホート研究のデータを用いて分析することにした。

 NutriNet-Sante Studyは2009年5月11日に始まり、現在も進行中のコホート研究だ。ウェブベースで参加者に回答してもらう方式で、18歳以上のボランティアの健康状態などを調べ、10年間追跡する予定だ。参加者は組み入れ前に、社会人口学的特性、身体測定データ、身体活動度、健康状態に関する質問表に回答してもらう。食事については2週間の中でランダムに選んだ3日について24時間に食べた食品をウェブで回答してもらった。食事内容は6カ月毎に、その他の項目は毎年回答してもらうことにした。

 今回の研究では、コホート組み入れから2年間に、ランダムに選んだ3日の食事データセットの記録が1回以上残っている45歳以上の参加者を分析対象とした。食品の種類は、大きく4つのカテゴリーに分けるNOVA分類システムを用いた。1)未加工またはわずかに加工されている食品(野菜、果物、豆類、卵、肉、魚、ミルクなど)、2)家庭で調理に使う材料(塩、植物油、バター、砂糖など)、3)加工食品(缶詰や瓶詰めの野菜・果物豆類、塩漬けや燻製の肉、缶詰の魚、焼き上げたパンなど)、4)超加工食品だ。

 超加工食品の例は、大量生産され包装されたパン、甘いまたは塩味の包装されたスナック、大量生産された菓子やデザート、炭酸飲料や加糖飲料、ミートボール・チキンナゲット・フィッシュナゲット・保存料を添加した肉加工品、即席麺・即席スープ、冷凍食品・常温保存可能な調理済み食品、家庭で調理する際には加えない添加物(水素添加油脂、加工澱粉、蛋白質加水分解物など)や砂糖や油脂などを非常に多く含む食品だ。ここに分類される食品には、水素添加・加水分解・成形・下揚げといった処理や、香料、色素、乳化剤、人工甘味料などの添加が施されているものが多い。

 主要評価項目は、超加工食品の摂取割合と総死亡率とした。追跡期間は2017年12月15日までとした。参加者の死亡イベントは、フランスの死亡統計であるCepiDcを用いて確認した。ただし、試験参加から1年以内の死亡例は分析から除外した。

 15万8361人の試験参加者のうち、食事の記録が1セット以上残っていたのは9万8019人、このうち45歳以上の人は4万4608人、参加から1年以内に死亡した57人を除く4万4551人が分析の対象になった。ベースラインでの対象者の平均年齢は56.7歳で、3万2549人(73.1%)が女性だった。それらの人々が摂取した食物の重量に占める超加工食品の重量の割合は14.4%(SDは7.6%)で、摂取エネルギーに占める割合は29.1%(10.9%)だった。

 超加工食品の摂取量と関連していた要因は、年齢が若い(45~64歳)、所得が低い(1200ユーロ/月未満)、学歴が低い(初等学校卒業まで)、独居、BMIが30以上、身体活動レベルが低い、などだった。また、超加工食品の摂取が多いほど、健康的な食事に関するガイドライン(modified Programme National Nutrition Sante Guideline Score)の遵守率が低く、飽和脂質と砂糖の摂取量が多く、食物繊維の摂取量が少ない傾向を示した。
 中央値7.1年(平均値6.6年)の追跡期間中に602人(1.4%)が死亡していた。交絡因子を補正した後の、超加工食品の摂取量が10%増加当たりの総死亡のハザード比は1.14(95%信頼区間1.04-1.27)になった。感度分析を行ったが結果は同様だった。

 これらの結果から著者らは、超加工食品の消費量の増加は、成人の総死亡リスクの上昇に関係しており、今後は超加工食品が健康に影響を及ぼす様々な機序を明らかにするための前向き研究を行う必要があると結論している。