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高齢PHPT、副甲状腺摘出で骨折リスク低下

こんにちは、血清Ca値が上昇し骨が脆くなる原発性副甲状腺機能亢進症というホルモンの病気があります。自覚症状なく血液検査でCa値が高いことを契機に診断にいたることが度々あります。治療は手術療法やもしくは手術不能例では薬物治療を行います。高齢者の人は手術の併発症などを勘案し内服治療を選択することがありますが今回の文献では骨折リスク低下することが示されており高齢者であっても手術可能な場合はおこなったほうがよさそうです。

Seib CD, et al. Risk of Fracture Among Older Adults With Primary Hyperparathyroidism Receiving Parathyroidectomy vs Nonoperative Management. JAMA Intern Med. 2021 Nov 29. Online ahead of print.

 原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)高齢患者を対象に、副甲状腺摘出術が骨折リスクにもたらす便益を長期コホート研究で検討。2006-17年に米メディケアを受給したPHPT患者21万206例(平均年齢75歳、女性78.8%)のうち6万3136例(30.0%)が診断後1年以内に副甲状腺摘出術を受けていた。
 その結果、手術群の未調整骨折発生率は、平均追跡調査期間58.5カ月で10.2%、非手術群は平均追跡調査期間52.5カ月で13.7%だった。多変量解析では、手術群のあらゆる骨折(ハザード比0.78、95%CI 0.76-0.80)、股関節骨折(ハザード比0.76、同0.72-0.79)の調整後発生率が低下した。2年、5年、10年時点で、手術群の調整後骨折絶対リスクがそれぞれ1.2%、2.8%、5.1%低下した。Fine-Gray競合リスク回帰分析で、死亡による競合リスクを考慮に入れると、手術によってあらゆる骨折および股関節骨折のリスクが低下することを確認した(それぞれハザード比0.84、同0.82-0.85および0.83、0.80-0.85)。