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2型糖尿病においてメトホルミンとDPP4阻害薬を初期から併用したほうが良い

こんにちは、今回は糖尿病治療に関する文献を紹介します。合併症を予防するために血糖コントロールは重要ですが血糖値やHbA1cが上昇すると薬が徐々に追加されていくことが多く、ほとんどの患者さんは糖尿病の薬を1種類から開始しますが、今回の論文は当初からメトホルミンとDPP4阻害薬を併用したほうがメトホルミン単剤に比べ血糖コントロールが良好であることが示されています。

詳細については以下を参考にしてください。
Glycaemic durability of an early combination therapy with vildagliptin and metformin versus sequential metformin monotherapy in newly diagnosed type 2 diabetes (VERIFY): a 5-year, multicentre, randomised, double-blind trial
DR Matthews et al.   Lancet. 2019 Oct 26;394(10208):1519-1529.

英国Oxford大学Harris Manchester CollegeのDavid R Matthews氏らは、2型糖尿病と診断された患者に最初にメトホルミンを単剤投与する標準治療に比べ、当初からメトホルミンとDPP-4阻害薬のビルダグリプチンを併用すると、長期にわたって血糖コントロールを持続できる患者の割合が多いと報告した。

 2型糖尿病治療ガイドラインは第一選択をメトホルミンとし、血糖コントロール目標を達成できなかった場合には、段階的に治療を強化することを推奨している。しかし、治療強化のタイミングは遅れがちだ。これまでの研究では、診断初期から血糖コントロールが良好な場合、長期的な糖尿病合併症リスクを減らせることが示唆されている。

 血糖コントロール目標を早期に達成するための方法の1つは、できるだけ速く作用機序の異なる治療薬の併用を開始することだ。そこで著者らは、新規診断2型糖尿病患者にメトホルミンを単剤治療から始めた場合と、メトホルミンとDPP-4 阻害薬のビルダグリプチンを併用した場合の、5年間の血糖管理の持続性を比較する二重盲検のランダム化比較試験VERIFYを計画した。

 VERIFYには34カ国の254施設が参加した。組み入れ対象は、18~70歳の2型糖尿病患者でHbA1cが6.5~7.5%、BMIが22~40の人。既に血糖降下薬治療を受けている人は除外した。1カ月以内に2000mg以下のメトホルミン治療を開始したばかりの人は対象に含めて良いこととした。慢性肝疾患やうっ血性心不全がある患者も除外した。

 条件を満たした患者は全員、3週間のランイン期間にメトホルミン1日500mgから開始して、段階的に1500mgまたは最大耐用量まで増量を試みた。ランイン期間に1000mg以上に耐えられることが判明した患者がランダム割り付けに参加した。1対1の割合で、メトホルミンとビルダグリプチン併用群またはメトホルミン単剤群に割り付けた。メトホルミンは患者の耐容量により、1000mg、1500mg、2000mgのいずれかを続けることにした。併用群はビルダグリプチン50mgを1日2回、単剤群はプラセボを1日2回服用した。

 治療開始からは3カ月ごとにHbA1cを測定し、13週間隔で2回、HbA1cが7.0%以下に維持できていなかった患者は初期治療の失敗と判断し、第2期の治療を開始した。1期に単剤群だった患者は、2期にプラセボに代えて、ビルダグリプチン50mgを1日2回投与した。併用群はそれまでと同じ治療を適用した。各国のガイドラインまたは担当医の判断に基づいて、2期の治療が失敗だと見なされた時点で、第3期の治療として、基礎インスリンの投与を開始した。治療期間は5年間継続し、主治医がさらに異なる血糖降下薬治療が必要と判断した患者は、試験を中止することにした。

 有効性の主要評価項目は、ランダム割り付けから1期の治療が失敗と判断されるまでの期間とした。副次評価項目は、2期治療の開始から血糖コントロールを失うまでの時間、HbA1cの変化、空腹時血糖値の変化、安全性と忍容性とした。

 患者登録は2012年3月30日から2014年4月10日まで実施した。4524人をスクリーニングし、条件を満たした2001人の患者をランダムに、併用群998人(平均年齢は54.1歳、BMIの平均は31.2、男性が45.4%)と単剤群1003人(54.6歳、31.0、男性が48.7%)に割り付けた。追跡は2019年4月まで行った。5年間の試験を完了したのは計1598人(79.9%)だった。内訳は、併用群の811人(81.3%)と単剤群の787人(78.5%)だった。追跡期間は中央値で59.8カ月だった。

 1期の治療失敗は、併用群の429人(43.6%)と、単剤群の614人(62.1%)だった。治療失敗までの観察期間は中央値で、単剤群が36.1カ月(四分位範囲15.3~not reached)、併用群では61.9カ月(29.9~not reached)となった。治療失敗までの時間における併用群の5年間の相対リスクは減少しており、ハザード比は0.51(95%信頼区間0.45-0.58)になった。

 続いて、2期の治療失敗までの時間の相対リスク減少も有意だった。ハザード比は0.74(0.63-0.86)だった。

 有害事象の発生率は両群に差がなかった。低血糖は併用群13人(1.3%)と単剤群9人(0.9%)に発生した。膵炎は併用群4人(0.4%)、単剤群3人(0.3%)に起こっていた。

 これらの結果から著者らは、新たに診断された2型糖尿病患者に対して、初期からビルダグリプチンとメトホルミンの併用両方を開始すると、標準的なメトホルミンを単剤療法から始める場合よりも、長期的な血糖コントロールが良好だったと結論している。