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副腎偶発腫の死亡率はコルチゾール分泌に関連

こんにちは、今回は内分泌疾患に関する話題です。CTなど画像検査で偶然発見される副腎腫瘍を副腎偶発腫と呼びます。CTなど行うと10-20%の人にみつかるため総合病院などではよく遭遇する疾患です。副腎はホルモンを分泌する臓器であるため画像診断とあわせてホルモンの異常があるかどうか調べることになります。精密検査を行う際にコルチゾールというホルモンの自律分泌があるかを調べるためにデキサメタゾン抑制試験という検査を行うのですが、正常ではその検査をおこなうとコルチゾール値が50nmol/L未満となりますが、その値を超えると直線的に死亡率が増えることを今回の論文で報告しています。副腎偶発腫があれば、1㎎デキサメタゾン抑制試験を行うべきであるとともに明らかな臨床症状がなくてもデキサメタゾン抑制試験の値が高い人はより慎重な経過観察や積極的な治療介入をする必要がありそうです。

Association Between Mortality and Levels of Autonomous Cortisol Secretion by Adrenal Incidentalomas: A Cohort Study. 
Kjellbom A, et al. Ann Intern Med. 2021 May 25.

スウェーデンの2施設で2005-2015年に診断を受けた副腎偶発腫患者を対象に、コルチゾール自律分泌と死亡率との関連を後ろ向きコホート研究で検討。最長14年間追跡し、全国レジストリから転帰に関するデータを収集した。1mgのデキサメタゾン抑制試験後の血漿コルチゾール濃度(cortisolDSTが50nmol/L未満、50-82nmol/L、83-137nmol/L、138nmol/L以上)で患者を分類した。
 追跡期間中央値6.4年の間に1048例中170例が死亡した。cortisolDST 50nmol/L未満群と比較すると、50-82nmol/L群では死亡率の上昇は見られなかった(ハザード比1.15、95%CI 0.78-1.70)が、83-137nmol/L群(同2.30、1.52-3.49)と138nmol/L以上群(同3.04、1.86-4.98)では死亡率が高かった。制限3次スプラインを用いた解析では、cortisolDST 200nmol/Lまで死亡率との線形の関連が認められた。