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中和抗体価が低いとCOVID-19ブレイクスルー感染を生じやすい

こんにちは、今回はコロナ感染症に関しての文献です。ワクチン2回接種後にコロナウィルスに感染することをブレークスルー感染と呼ばれています。予想はされていましたがワクチン接種しても中和交代価が低いと重症化のリスクは減少するもののコロナウィルスに感染する可能性があるといった内容です。この結果からはコロナ感染が終息するまでは、抗体価の数値によって個別にワクチン接種を追加したり、経時的な抗体価の低下具合により集団でワクチン接種追加の時期を決めていくこととなりそうです。

Covid-19 Breakthrough Infections in Vaccinated Health Care Workers. Bergwerk M, et al.  N Engl J Med. 2021 Jul 28. 

 イスラエル国内最大規模の医療施設に勤務する医療従事者1497例を対象に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2(ファイザー社/ビオンテック社製)2回接種後の感染(ブレイクスルー感染)の特徴を症例対照研究で評価。SARS-CoV-2検出前1週間以内(感染前後期間)に採取した検体で抗体を認めたブレイクスルー感染者と対照の非感染者4-5例をマッチさせた。
 その結果、ブレイクスルー感染が39件確認された。マッチさせた対照者と比べると、ブレイクスルー感染例は、感染前後の中和抗体価が低かった(症例/対照比0.361、95%CI 0.165-0.787)。感染前後の中和抗体価が高いほど感染力が低かった(サイクル閾値が高い)。ブレイクスルー感染例のほとんどが軽度または無症状だったが、19%は症状が6週間以上持続した。85%からB.1.1.7(アルファ型)変異株が検出された。計74%で感染中の任意の時点でのウイルス量が多かった(サイクル閾値30未満)が、同時に実施したAg-RDT検査で陽性だったのはわずか17例(59%)だった。2次感染は認められなかった。