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糖尿病のある高齢者における骨折の危険因子は

こんにちは、糖尿病のある人は比較的骨密度が保たれていても骨が脆いということはよく知られています。したがって骨密度の数値が骨粗鬆症の治療開始に有効でない場合もありえます。今回の文献からは高齢の女性、HbA1c高値、過去1年の転倒回数、骨折既往歴、握力低下があると新規の骨折リスクが上昇することが示唆されています。一方で大腿骨の骨密度やBMI、喫煙等は新規の骨折と関連は認めなかったと報告しています。

Risk Factors for Incident Fracture in Older Adults With Type 2 Diabetes: The Framingham Heart Study. Dufour AB, et al.  Diabetes Care. 2021 May 17.

 フラミンガム心臓研究のオリジナルコホートと次世代コホートの2型糖尿病患者793例を対象に、骨折の危険因子を前向きに検討。被験者の平均年齢は70歳で、45%が女性だった。
 その結果、追跡期間中に計106件の新規骨折が発生した。高齢[調整ハザード比:60歳未満で1.00の場合、60-70歳で1.44(95%CI 0.65-3.16)、70歳超で2.40(1.14-5.04)、P=0.02]、女性[同:2.23(1.26-3.95)]、HbA1c値[同:4.45-6.46%で1.00の場合、6.50-7.49%で2.10(1.17-3.75)、7.50-13.86%で1.29(0.69-2.41)、P=0.03]、過去1年の転倒[同:転倒なしで1.00の場合、1回で1.87(0.82-4.28)、2回以上で3.29(1.34-8.09)、P=0.03]、骨折既往歴[同:2.05(1.34-3.12)]、握力低下[同:5kg増加当たり0.82(0.69-0.99)]があると骨折発生率が高かった。大腿骨頸部骨密度、BMI、喫煙、身体機能、慢性疾患、薬物治療に新規骨折との関連はなかった。