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抗うつ薬治療で糖尿病合併症リスク減

こんにちは、今回はうつ病の治療で糖尿病合併症のリスクが減少するといった文献を紹介します。コロナ禍での運動不足などで体重が増加し糖尿病を発症する人や糖尿病が悪化するケースにしばしば遭遇します。一方でコロナ感染に関連するうつ病の患者も急増しています。もともと心理的ストレスやそれによる生活習慣の変化が糖尿病を悪化することは知られていますが、今回の論文ではうつ病の治療をしっかり行うことで糖尿病の合併症リスクも減少すると報告しています。

Associations Between Antidepressant Use and Advanced Diabetes Outcomes in Patients with Depression and Diabetes Mellitus.  Wu CS, et al. J Clin Endocrinol Metab.  2021 Jul 14. 

 台湾の全民健康保険データベースに登録された、糖尿病(DM)治療を新たに受けたうつ病患者3万6276例を対象に、抗うつ薬治療とDM合併症および死亡の関連を全国後ろ向きコホート研究で検討。6カ月間の抗うつ薬治療状況を「使用なし」、「遵守不良」、「部分的使用」、「定期的使用」に分類した。
 その結果、抗うつ薬の治療遵守不良に比べると、抗うつ薬の定期使用で大血管合併症リスクが0.92倍、全死亡リスクが0.86倍に低下したが、細小合併症との関連は認められなかった。選択的セロトニン再取り込み阻害薬の定期使用で大血管合併症リスクが0.83倍、全死亡リスクが0.75倍に低下し、三環系および四環系抗うつ薬の定期的使用に全死亡リスクが0.78倍に低下した。陰性対照としたベンゾジアゼピンの定期的使用にDM転帰との関連は見られなかった。