
目次
■甲状腺疾患がある方へ——飲酒・喫煙との付き合い方を考える
橋本病やバセドウ病と診断された患者様の中には、「お酒やタバコは今まで通りでよいのだろうか」と戸惑う方が少なくありません。
治療中の飲酒・喫煙が体に及ぼす影響や、疾患ごとに気をつけたいポイント、日常生活での判断のヒントについて詳しくお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 飲酒は甲状腺ホルモンや治療薬の吸収に影響する可能性があり、適量は主治医への相談で確認を
- 喫煙はバセドウ病眼症の進行や免疫反応への影響が報告されており、禁煙の検討が望ましい
- 節酒・禁煙は段階的なアプローチや医師のサポートを活用しながら無理なく進めることが大切
■橋本病・バセドウ病における飲酒(アルコール)の影響
◎お酒が甲状腺ホルモンや治療薬に与える影響とは
アルコールが代謝される際、甲状腺ホルモンの働きにも関わる肝臓へ負担がかかることがあります。
橋本病で治療薬を服用中の患者様は、飲酒によって薬の吸収状態が変動する可能性がある点に注意が必要です。
バセドウ病の場合は、アルコールの作用で動悸や発汗をより感じやすくなる傾向が報告されています。
◎「少量なら問題ない」は本当?——飲酒量の判断基準
治療中は、一般的にいわれる飲酒の適量がそのまま当てはまるとは限りません。
ホルモン値が不安定な時期には、少量のアルコールでも体調の変動につながるケースがあります。ご自身で判断するのではなく、主治医と相談して現在の状態に合った目安を把握することが大切です。
■喫煙・タバコが橋本病やバセドウ病に及ぼすリスク
◎バセドウ病と喫煙——眼症との関連に注意
バセドウ病の患者様にとって、喫煙は慎重に考えたい習慣のひとつです。
タバコの煙に含まれる成分は目の奥の組織における炎症に関与するとされ、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の進行と関連があると報告されています。
複視などの症状に影響を及ぼす可能性があるほか、周囲の受動喫煙への配慮も大切です。
◎橋本病患者様が見落としがちな喫煙の影響
喫煙は体の免疫反応を刺激する要因のひとつとされ、甲状腺への影響も指摘されています。
さらに、喫煙による血管収縮は全身の代謝バランスにも関わるため、体調管理のハードルが上がることも。禁煙を視野に入れた生活習慣の見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。
■甲状腺疾患と上手に付き合うための飲酒・喫煙の考え方
◎飲酒・喫煙を見直すべきサインと相談のタイミング
「ホルモン値が変動しやすくなった」「動悸やだるさが増えた」——こうした変化を感じたときは、生活習慣を振り返るサインかもしれません。
気になった際は、次回の診察時に普段の飲酒や喫煙の状況を主治医にお伝えください。当院では内分泌内科の診療において生活習慣についてもお話を伺い、患者様お一人おひとりに合わせたアドバイスを心がけております。
◎禁煙・節酒を無理なく始めるための実践ポイント
飲酒や喫煙を急にゼロにするのは難しいものです。できるところから段階的なアプローチが続けやすいコツです。
- お酒の場合: まず週に2日ほど「休肝日」を設けてみる
- タバコの場合: 本数を記録しながら徐々に減らし、禁煙補助薬の活用も検討する
一人で取り組むのが難しいと感じたら、医師のサポートを受けながら進めることも有効な選択肢です。
■よくある質問
Q. 橋本病の薬を飲んでいますが、お酒は一切控えるべきですか?
A. 一律にお控えいただく必要はありませんが、肝機能やホルモン値の状態によって適切な量は異なります。ご自身で判断せず、まずは主治医にご確認いただくことをおすすめします。
Q. バセドウ病で喫煙していると治療に影響が出ることはありますか?
A. 喫煙はバセドウ病眼症(甲状腺眼症)に関連する要因のひとつと考えられています。治療をスムーズに進めるためにも、禁煙について主治医にご相談されることが望ましいでしょう。
Q. 電子タバコや加熱式タバコなら問題ありませんか?
A. 有害物質の種類や量は紙巻きタバコと異なりますが、甲状腺への影響について十分なデータが蓄積されていないのが現状です。体への負担を考慮し、ご利用は慎重にご検討ください。
Q. 禁煙外来は保険適用で受けられますか?
A. 一定の条件を満たせば保険適用で禁煙治療を受けることが可能です。詳しい適用条件につきましては、受診を検討されている医療機関へ事前にお問い合わせください。
1999年 春日井市民病院研修医
2001年 春日井市民病院内科
2005年 名古屋大学大学院医学系研究科
2009年 米国シンシナティ大学留学
2011年 ひまわりクリニック
大雄会ルーセントクリニック
2012年 千秋病院、済衆館病院
2013年 あおい在宅診療所
2016年 公立西知多総合病院 内分泌・代謝内科部長
2018年 独立行政法人地域医療機能推進機構
中京病院内分泌・糖尿病内科診療部長兼
糖尿病センター長
2020年 清水ヶ岡クリニック開院
医学博士
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本糖尿病学会専門医
日本医師会認定産業医
【所属学会】
日本内科学会
日本糖尿病学会
日本内分泌学会

